PADI AWAREコースって知ってる?海の環境を大切にできるダイバーになろう!

更新日:2023.04.10.Mon   投稿日:2022.08.16.Tue

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ダイバーがサンゴ礁にダメージを与えてしまっている?!

昨今、スキューバダイビングで目にする海の中以外でも、様々な場面で「環境問題」の言葉が使われています。ダイビングライセンスを取得する際に、海の環境についての話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?実は、水中環境の変化を目の当たりにできるダイバーだからこそ、できることがたくさんあります。まずは現状を知って、サンゴ礁や他の生物など、より環境に優しいダイビングができるよう一緒に考えてみましょう!

皆さんはダイビング中、目の前を優雅に泳ぐ生き物に夢中になって、フィンでサンゴを蹴ってしまったことはありますか?夢中で水中写真の撮影をして、岩を思い切り掴んだり、沈まないように砂を巻き上げてしまったりしたことはありますか?また、タンクのテープやランチのお弁当などのゴミが風で海へ飛んで行ってしまったことはありませんか?多少の差はあれ、誰しもある経験でしょう。

実は、海を大切に想っているはずのダイバーが、潜るたびに海の環境へダメージを与えてしまっている一面があるのです。フィンで蹴ってしまうだけではなく、オクトパスや残圧計などの器材がきちんと固定されていないため引きずってしまう、ゴミを飛ばしてしまうなど、様々な理由により海の環境を少しずつ傷つけてしまっています。そのため、生き物の回復期間を強制的に設けられるよう、ダイビングポイントによっては期間限定にしていたり、気軽に海の中で手を着けないようグローブの着用を禁止していたりする場所もあります。

例えば、ロープ潜降をするダイビングポイントでは、ロープにつかまって降りていくため、中性浮力のコントロールができているか手を放すまでわかりません。それにより、手を離したとたん、サンゴや岩の上に一気に落ちてしまい、慌ててBDCに空気を入れる姿をたまに見かけます。

また、砂地で砂を巻き上げながらバタバタしてしまっている姿も珍しくありません。これでは、砂地に隠れているハゼなどの生物や生えているイソギンチャクなども、一緒に足蹴りにしていることでしょう。ある研究によると約8割のダイバーが、少なからず1回のダイビングで1度以上サンゴや海洋生物に触れているとの結果も出ています。海を遊び場にして、海に敬意を払って大切にしているはずのダイバーですが、意図せずとも皆が少しずつ海を傷つけてしまっているのが現状です。

その証拠に、ダイバーがほとんど行かないポイントや期間限定ポイントのオープン直後は、ソフトコーラルや海藻、魚たちの生息域が伸び伸びと広がっているのです。ひとり一人が傷つけてしまう範囲や量は少なくても、全てのダイバーを合わせるとかなりのダメージになります。日本全国で約1,300件のダイビングショップが存在しますから、1ショップ1人のゲストだとしてもバディを組んで潜って1日2,600人が海へ入ります。
(2022年4月6日・ダイブインフォ参照

365日で計算するとかなりの数のダイバーが海へ入ることになりますから、その影響が少ないとは言い難い現実があります。

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サンゴ礁の環境破壊が引き起こすこととは?

ダイバーがサンゴに与える1つひとつは小さなダメージですが、これらが何年も続くと大きな変化を引き起こす可能性があります。例えば、ソフトコーラルは蹴られても再生しますが、一定回数を超えると「ここに自分は必要ない」と判断し二度と再生しなくなると言います。また、ハードコーラルは、折れてしまったら数cm再生するのに1年以上かかります。そもそも、サンゴを破壊することがどんなことに影響するのでしょうか?

サンゴには想像を超える多くの生き物が住んでいます。その数は9万種類以上で、海の生物の25%以上と推測されています。つまり、サンゴが減ったり死んでしまったりすると、サンゴやサンゴ礁を住処にしている生き物とそれらを食べる生き物の生態系に影響します。

岩や砂地についている生物も同じです。人間の体温は海水よりも高く、少し触れただけで死んでしまうこともあります。ウミガメを触ってはいけないというルールはよく耳にします。写真を撮ろうと生物に近づいて、身体を固定するために近くにある岩をがっしり掴んでしまったこともありますよね。この時、岩についているホヤやカイメンなどの小さな生物を手のひら全体で押しつぶしているかもしれません。珍しい魚が隠れている岩場などは、1日に何人ものダイバーが訪れます。ダイバーが来るたびに周りの岩や砂を荒らされたら、せっかく住みついていても餌が無くなっていなくなってしまうかもしれません。

また、海の環境が変化した場合、多くの魚たちは移動することが安易ですが、無脊椎動物などの動けない生物はその場で死んでしまうのを待つしかないこともあります。そうは言っても、ダイビングをする以上は、まったく海に影響を及ぼさないことはかなり難しいですよね。ただ、少しでも傷つけないように工夫したり、スキルアップコースなどのトレーニングを受けて事前に対策をしたりすることは可能です。

環境にやさしいダイバーになるためにはきちんと対策をし、何がどのようなことに影響をするのか知って、ダイバーにしかできないことを考えましょう。

ダイバーだからこそできることは何か?

前記したように、海への影響をゼロにするのは非常に難しいですし現実的ではありません。しかし、中性浮力のテクニックや心がけ次第で少しでも減らしていくことができるのです。フィッシュウォッチングや写真撮影だけではなく、自分たちが潜る環境を大切にしつつ楽しくダイビングをしてほしいと思います。そのために、すぐにでも取り組めるポイントを3つ紹介します。

1つ目は、中性浮力やフィンワークのテクニックを向上させることです。まず、中性浮力を上手く保つためには、適正ウエイトと水中姿勢(トリム)が大切です。オーバーウエイトだと、勢いよく沈んでしまう原因や海底を引きずるように泳ぐことになる原因になります。エアの消費も早くなりますので、潜るダイビングポイントやスーツ、エントリー方法、体型の変化などにも注意しながら常に適正ウエイトで潜るよう心がけましょう。

ウエイトの付け方にも複数の方法があります。通常は、腰に巻いたりベストタイプを着たりしますが、BCDの中やシリンダーのバンド部分、ドライスーツの時期だと足首にアンクルウエイトを付けることもあります。全体のウエイト量だけではなく、ご自身の姿勢の癖や泳ぎやすさを研究してみるのもよいでしょう。

しかし、自分自身がどんな姿勢で泳いでいるかイマイチわからない方が多いかと思います。そんな時は、インストラクターやガイド、一緒に潜るバディに頼んで、泳いでいる姿勢を動画で撮ってもらい、後から見返してみるのも客観視できてお勧めです。これらを心がけながら、吸気と排気、呼吸のバランスを身体で覚えられれば、必要以上に岩や海底に触れずに、綺麗な中性浮力を取ることができるようになります。

また、久しぶりに海へ潜る際は、自宅から通えるダイビングプールで、リフレッシュダイビングコースなどを受講して中性浮力と基本的な項目を再確認してから、海へ遊びに行くのもいいでしょう。

2つ目は、潜るダイビングポイントについて事前の下調べをすることです。岩が多いポイントなのか、砂地が多いポイントなのか。場所や時期によっては、ハードコーラルやソフトコーラルが多く生息しているエリアも多々あります。場所によって、気を付けなければいけないことが異なりますので、前もってチェックしておくと良いでしょう。

また、ブリーフィングの際にガイドから注意事項が伝えられますので、ポイントの名称や見られる生物の種類だけではなく、現地のルールや撮影のマナーなども一緒に確認するようにすると良いでしょう。

多くの方が、体験ダイビングやライセンス取得直後は気を付けながら泳げていても、慣れてくると行動範囲も広がりますし、多岐にわたる海洋生物と接する機会も増えてきます。海を楽しむダイバーとして、しっかり意識をし、新しいポイントでも慣れたポイントでも、極力、海の環境へ負荷をかけずにダイビングを楽しみましょう。

3つ目は、海の環境について学び、知識をつけることです。海にお邪魔している立場としては、海の環境を壊さないように極力配慮をして、その上で存分に海を楽しむダイバーでありたいですよね。そのためにも、小さな環境破壊がどのようなことに影響するのか、また、長期的・短期的に起こりうる問題などを勉強してみるのもおすすめです。そうすれば、自ずとテクニックの向上やマナー改善に役立つでしょう。
これらの向上は、海の環境に対してだけではなく、一緒に潜るバディとより気持ちよく過ごすことにもつながります。本や雑誌を読んだり、ガイドやインストラクターにアドバイスを求めたりしてみてください。

また、PADIでは様々なスペシャルティコース(PADI AWARE)があります。AWARE(アウェア)とは、Aquatic World Awareness, Responsibility and Educationの頭文字を取った名前で、日本語の意味は「水中世界の認識、責任、教育」です。PADI AWAREには、プロジェクトAWARE、サンゴ礁の保護、魚の見分け方、水中ナチュラリスト、サメの保護、Dive Against Debris(海洋ゴミの回収)、の6種類のコースがあります。

サンゴ礁の保護コースでは、海の環境の中でも特にサンゴ礁を守ることをテーマにしています。サンゴの白化現象やサンゴが受けているダメージを学習し、世界中のサンゴ礁が直面している危機を知り、どのように悪化を防ぐのかを学ぶことができます。ダイバーとしてできることは何かを考えるきっかけにもなりますし、その対策を知って今後のダイビングライフに活かすことができるでしょう。このPADIスペシャルティコースは最低レベルなどの参加前条件もなく、レクチャーのみのコースですので、ぜひ気軽に受講してみてください。

また、別の角度から海環境を考えられるコースとして、Dive Against Debrisがあります。このコースでは、海洋ゴミの回収を実施するための知識やナビゲーション、サーチ&リカバリーのスキルを中心に学びます。

PADI Dive Against Debrisコース

陸から流れ出たゴミが海の環境へ及ぼす影響を学び、実際に海からゴミを取り除くと共に、ゴミの種類や量の報告をします。一見、ゴミは見た目の問題だけのような気がするかもしれませんが、海藻や岩、水中の生物に絡みついたりして痛めてしまうことが多々報告されています。

また、水面に浮かんでいるプラスチックゴミは太陽の熱で溶かされて、毒性の高いマイクロプラスチックとなり半永久的に水中を漂います。生物が呼吸をする際に、それらを体内に取り込んでしまうため、私たち人間にも間接的・直接的に影響を及ぼしているのです。

海中のゴミを拾うことは日本ではまだまだ一般に普及していませんが、実は多くの国で盛んにおこなわれています。メッシュバッグタイプのゴミ袋を持って海へ入り、ゴミ拾いを目的としたダイビングを実施し、自分たちで潜る海を綺麗にして帰ってくるのです。宝探しのようで楽しいというダイバーも多いです。

このように、様々なAWAREコースがありますが、まずは海の環境を守るにはどのような選択肢があるか?何をしなければいけないのか?全体像を学習したい場合は、プロジェクトAWAREスペシャルティコースを受講してみると良いでしょう。

現在、地球上では年間に約1,000種の生物が絶滅していると言われています。海だけの数字ではありませんが、WWFの研究結果によると、海洋生物の個体数はこの45年間で半減しています。もちろんダイバーだけが原因ではありませんが、少しでも多くの人が実際に起きている環境問題を理解することが大切ですね。今までよりほんの少しだけでも、海環境について興味関心を持ち、楽しみながら環境を守る活動に取り組んで欲しいと思います。陸上で生活をしながら、海という大きな自然を遊び場や仕事場にして、身近に接しているダイバーだからこそできることを一緒に考えていきましょう。